「お父さんは結局、家族よりも仕事の方が大事なんでしょ」
連絡もなしに朝帰りした晃介に美也は涙声で拒絶した。
「...ごめん ごめんな美也… おれは… おれが一番やりたいことは…美也と一緒に幸せになることだ」
その言葉を聞いても美也は黙って自分の部屋に閉じこもった。
目次
「娘の友達」2巻

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「娘の友達」 登場人物
市川晃介
係長を務めるサラリーマン。
仕事に明け暮れ課長の椅子も見えてきたころ妻に先立たれる。
その結果、娘の美也が不登校になる。
如月古都
美也の同級生。
優等生でそつがなく、美しい女性。
晃介と同じ時間を過ごそうとする
市川美也
晃介の娘で古都の同級生。
母(恵子)を亡くした時から仕事人間の晃介と距離を置くようになる。
「娘の友達」2巻 ネタバレと感想と
「お父さんは結局、家族よりも仕事の方が大事なんでしょ」
連絡もなしに朝帰りした晃介に美也は涙声で拒絶した。
「…ごめん ごめんな美也… おれは… おれが一番やりたいことは…美也と一緒に幸せになることだ」
その言葉を聞いても美也は黙って自分の部屋に閉じこもった。
一方、家に帰った美也は「友達の家で泊まりで試験勉強をした」と母親に弁明したが平手打ちを受け、いつものように土下座で謝罪させられる。
これって確かに晃介の本心だろうし、美也にも死んだ妻にも申し訳ないと思ってるからこそ発する言葉なんだろうけど、娘の同級生と一緒にいて娘にも会社にも嘘ついてるくせに「と一緒に幸せになることだ」なんてよくほざいたなって思うわ。
結局、だれも大切にすることなんかできないって思ったな。
美也の言う通り晃介は優しい人間なんだろうけど、古都が思うように薄っぺらな臣槍のない人間って感じた。
そして美也の母親…完全にモラハラ、パワハラ、毒親…美也が逃げ出したくなる気持ちも、晃介の優しさに惹かれるの気持ちもよく分かる。お互いの寂しさを埋め合うふたりになってしまいそうだ。
ある時、行きがかり上、康介は美也のいるバイト先に部下たちと行くことになる。
部下たちはおとなしい晃介をいじりだす。
「あのー係長ってー、結構、空気読めませんよね」
そう言って晃介のことを小馬鹿にした女子社員に美也はコップの水をぶっかける。
よくやった!みんなの前で上司を小馬鹿にするなんていくらノリでもやってはいけないでしょ。
それこそ空気読めないバカ女って思ったね。
そんなクソ女に水をぶっかけるなんて他人はもちろん、従業員ならなおのことやってはいけない...それをしてしまうほどに美也は腹が立ったのだろう。
まるで自分が大切にしているものを笑われたかのように。
そして、咄嗟にそんな行動をしてしまう美也はとても冷静な優等生というよりは、感情的になってしまうほど晃介のことが大切なんだと思う。
晃介と美也と亡母恵子の墓参りに行く。
その時に本音で話す晃介に美也は心を許し始める。
そして、不登校の単位を取り返すため追試を受けることを告げる。
美也の気持ちが大きく前向きになったことに小躍りするように喜ぶ晃介。
美也は小介が捨てた可愛い絆創膏のことを問いただす。
それは古都が付けてくれたものだった。
なんとかごまかす晃介…そこに美也から電話がかかってくる。
しかもお風呂にに入っている写真も。
晃介は久しぶりに登校する美也のことをよろしく頼む。
古都は交換条件としてデートを申し出、晃介はそれを受け入れる。
多感な時期なのにきちんと自分の先のことを考え、自分がすべきことを見つける美也は大したものだ。
そして、本当に美也のすごいところは行動に移すことだ。
ふつうなら「やらなければいけない」という気持ちはあってもそれを実行することができないものなのだが、美也は投稿し、追試を受けようとする。
ある程度、晃介との気持ちに整理がつき始めたのかもしれない。
母恵子は病死でありそれはどうしようもなかったことだろうが、その時間を大切にしなかった、いや、出来なかった晃介のことがほんの少しわかったからだろう。
それなのに、折角得た信用を晃介は美也のことで失ってしまうかもしれないという大きな不安はぬぐえない気持ちがあるに違いない。
日曜日、デートは水族館。
「わかってます。わたしたちのことは美也ちゃんには内緒ですよね?」そう言った美也に対し、(あ…言われてしまった…)と思う康介。
いやいやいや。それちがうでしょ?
いくらストーリーとしてふたりのもどかしい関係を継続しなければいけないとはいえ、折角やる気を出した娘のためにこの関係を断ち切れない?
なんで?妻を亡くして間もないのに。
娘は自分のせいでそのことを引きずっているのに?
この関係が続けばいずれバレてしまうことなのに?
「秘密」ですむことではなく「終わり」にしなければいけないことでしょ?
正直、この展開にはがっかりだ。
一気にしらけるものを感じてしまった。
「世田谷区からお越しの如月さま 如月古都さま お母さまが1階チケットカウンターにてお待ちです」
最近のことの様子がおかしいため、古都のスマホのGPSからつけ来た母親だった。
晃介にもその異常さは伝わり、これまで古都が何かから逃げようとしていた理由がわかった。
古都は体調が悪く熱があった。
そして、家に帰りたくないといってホテルに行きたいとせがむ。
古都の体調を心配した晃介は仕方なくその要望を受け入れる。
ホテルではことが晃介を抱きしめ、首筋に優しくキスする。
「晃介さん 私のこと好きですか?」
そう言って服を脱ぎ自分のすべてを晃介に晒す古都。
「好きだ」そう言って古都を守るように抱きしめる康介。
この時康介はまだ楽観的だった。
このままことが卒業すれば付き合えるかもしれないなどと…
古都の気持ちよくわかるな…
晃介には確かに好意はあるんだろうけど、好きというより母親から逃げたい。
そして晃介なら守ってくれそう。
それを好きだという気持ちとごちゃごちゃになってしまっているんじゃやないかな。
とにかく、古都は不安定なんだと思う。
なぜなら、冷静にこの関係をみると、自分の父親ほどの歳の男と恋しようとしている。
それが、ある程度年齢のいった30代とか40代なら分かるが16、7の高校生がそんなことおもうだろうか?
無くもないがあまりにも非現実的すぎるし、展開として唐突過ぎる。
イマイチ作品に共感できない、入り込めないというのはこういう現実が自分にこびりついているからかもしれない。
久し振りに登校した美也。
古都のことは「きぃちゃん」と呼んでいる。
そして美也がとんでもないことを言い出す。
「もしかして きぃちちゃん... うちのお父さんと… なにかあったりしないよね...」
それは、古都の好きなキャラの絆創膏…そして、子どものころ美也と言った水族館のチケットを晃介が持っていたからだった。
お、お、恐ろしすぎる...^^;
女のカンって怖すぎる(これを読んでる方が女性ならごめんなさい)
いやいや、しかし、再登校初日でこの言いようって…
しかも、自分の親友。
絆創膏と水族館のチケットだけで普通そこまで勘繰らないでしょ。
しかし、ないことはない。
だからコワイ^^;
展開に多少無理がある作品だと言ってきたが、ストーリーとしては面白い。
とてもおもしろい。だから、次が気になってしまう!